ゲームのローカライズについて

はじめまして、アドグローブのTKと申します。
ゲーム事業部のディレクター職を務めています。今回はこれまで関わった開発の経験から、ゲームのローカライズについて記事を書かせていただきました。

ローカライズとは何か?

ゲームタイトルを日本以外での発売を考えた場合、販売地域へのローカライズ対応が必要となります。
ローカライズ対応と聞くと、まずは日本語を他言語へ翻訳することを思い浮かべるかもしれません。
しかし「ローカライズ」には他国で販売するための言語以外での多くの対応が必要となります。

言語以外のローカライズ

言語以外のローカライズとしては大きく下記のものがあります。
 ・タイトルのローカライズ
 ・レーティングを通すための対応
上記対応について詳細を記載します。

タイトルのローカライズ

タイトルを日本語で作成していた場合、特殊な場合を除いて翻訳したタイトル名が必要となります。

  例)「三國無双」⇒「Dynasty Warriors」
  引用元:株式会社コーエーテクモゲームス

稀に、意図的に日本語のままで翻訳しない場合もありますが基本は翻訳したタイトル名を付ける事が多いです。
また、英語で作成されていても、現地であまり浸透していない言葉であれば、より分かりやすく、日常的に使われている言葉に変更することもあります。

  例)「BIOHAZARD」⇒「Resident Evil」
  引用元:株式会社カプコン

こちらの事例もわざと聞きなれない単語を使用して意識させる、ということもありその場合は変えないこともあります。
国内/海外でタイトルが違うと、プラットフォームの仕向け地を見てタイトル表示を変えないといけないなど、開発にひと手間かかってしまうので、タイトル作成の時点からプロジェクトとしてタイトルをどうつけるのが正解なのかを考えながら作成することをお勧めします。

レーティングを通すための対応

世界でゲームを販売する場合には、販売流通させる国/地域のレーティングに合格しないといけないのですが、各国の文化によってレーティングの内容が少し違っている内容があります。

  例)ドイツ・・・カギ十字はもちろん、卍マークも不可
    イスラム圏・・・お酒、肌の露出に関して他の国よりも厳しい

そのため、各地域のレーティング基準に合格できるよう、調整を行う必要があります。
また、最近は日本のレーティングの方が厳しく、海外版では体の一部が欠損するなどのゴア表現を行っているが、日本版では欠損することなく黒ずんだ表現のみにするなど、日本も1地域としてレーティング対応される事例も見られます。

言語のローカライズ

言語対応に関しては日本語から行う際に多くの場合、英語をまず翻訳して英語からその他言語へ翻訳することが経験上多くありました。
(※中国語、韓国語などアジア圏の言語は日本語からそのまま行うこともあります)
そのため、日本語から英語へ翻訳する際に一番注意を払う必要があります。
以下に気を付けた方がよい事例を挙げていきます。

固有名詞や言い回しについて

翻訳をお願いする際には、タイトルを通して固有名詞の表現や言い回しをまとめた、グロッサリーと呼ばれる固有名詞リストを作成して共有することで統一性を保っていきます。
グロッサリーを資料として翻訳していただく中で、固有名などを海外名に変更するかや、アルファベットの綴りについて決定を行います。
この工程をさぼってしまうと場面場面において違う綴りになったり、言い回しが違うことになり、ユーザーの混乱を招いてしまいますので大切な作業になります。

表現や個性について

方言を使うキャラクターや、日本固有の言い回しを特徴として使用したい場合は、翻訳家の方と事前に協議し、英語でどのように表現するかを決める必要があります。
きちんと協議をしておかないと、「田舎者」という部分が大事なキャラクターが登場してすぐに標準語で会話をしてしまい「田舎者」という表現がない状態でストーリーが進んでしまい雰囲気を失くしてしまうことがあったりします。
この部分を翻訳家の方と協議しておくと「古い英語」を使用していただいたり、「標準的ではない英語」を使用していただいたりして英語的に「田舎者」という表現を行った翻訳をしていただくことができます。

文字数の意識づけ

文字数を翻訳家の方としっかり握る事も大事で、基本的には日本語から英語に翻訳する際は文字数が多くなる傾向があるので、最大文字数を伝えてその中に翻訳を収めてもらうお願いをする必要があります。
特にドイツ語など英語よりもさらに長くなる傾向がある言語もありますので、UIデザインを行う際にも先んじてその分を考慮にいれたサイズ感などを考えておく必要があったりします。

さいごに

以上のように「ローカライズ対応」という言葉の中にもいろいろな対応が必要な事項があります。
今回の記事の事例が、皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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